外国人がインドネシアで不動産を買うには

皆さんこんにちは!

今日は外国人のインドネシアでの不動産購入方法をご紹介します。

外国人はインドネシアで不動産を購入できるの?

インドネシアでは政府の定める法律により外国人・外国法人は、土地の所有権の取得が認められておらず、「土地の利用権利・使用権の取得」のみ認めていました。(*外国法人には例外有り)が!2015年に政府が土地所有権に関する規定第103号を発令し、期限付きでの不動産の購入・使用が認められました。

それでは外国人・外国法人がインドネシアで不動産を購入するにはどうすればいいのでしょう?

その前に、まずは知っておかなければならない所有権使用権について説明します。

所有権(Hak Milik)と使用権(Hak Pakai)

インドネシアにおいて外国人は個人名義での永久の不動産の購入・所有が認められておらず期限付きの購入・所有もしくは「土地の利用権・使用権」のみ認められるとされています。

ではインドネシア政府の定める所有権・使用権とはなんでしょう?

所有権 (Hak Milik)

所有権とは個人で土地を所有する権利であり、インドネシアの場合「インドネシア国籍者のみ」と定められており、外国人は土地の所有権を持つことは認められていません。

(*)ただし例外として政府が許可した特定の法人は所有権取得の権利が与えられています。

使用権 (Hak Pakai)

使用権とは国有地、運用権が与えられた土地、個人所有権の土地を利用する権利です。使用権を取得できるのはインドネシア国籍者、インドネシアの法律に則って設立されたインドネシアに所在する法人、インドネシアに居住する外国人等です。

つまり外国人がインドネシアで不動産を所有するためには使用権を取得し、国又は個人の所有する土地を購入・賃借する必要があるのです。

外国人の不動産の購入=使用権の取得ということになりますね。

外国人がインドネシアで不動産を所有する方法

上記では外国人のインドネシアで不動産購入の可否、所有権・使用権についてみてきました。結果としては外国人は個人の場合使用権を利用しての土地の購入(賃借)が可能であることがわかりました。それではここから使用権を利用しての不動産の購入方法、また、外国法人の不動産の購入方法を見ていきましょう。

長期レンタル(リース契約)

最も一般的で個人でも契約可能な方法です。使用権を取得し土地・土地付きの家を最大30年間の期間限定で購入(賃借契約)することができます。この契約期間は2回の延長が可能となっており、1回目は最大30年間、2回目は最大20年間で最大80年間その土地を所有することができます。

外国人がインドネシアの土地を購入する場合は、最低金額が定められています。金額は地域ごとに異なります。

州・県 土地付きの家 アパート
(単位:IDR)
ジャカルタ 100 億 30 億
バンテン 50 億 20 億
西ジャワ 50 億 10 億
中央ジャワ 30 億 10 億
東ジャワ 50 億 15 億
バリ 50 億 20 億
北スマトラ 30 億 10 億
東カリマンタン 20 億 10 億
南スラウェシ 20 億 10 億
その他の地域 10 億 7 億 5000 万

外国人でも契約期間はその土地・物件はその人の所有物となります。もちろん契約期間中に第3者に土地・物件を貸し出すこともできますが、必ず本来の持ち主であるオーナーの承諾を得てから第3者とお契約を結ぶ必要があります。

会社を設立して不動産を取得する(*)

次に「例外」についてみていきましょう。

上記ではインドネシアの土地の所有権を取得できるのはインドネシア国籍者のみと説明しましたが、1つ例外があります。それが会社を設立することです。

インドネシアで外国資本100%のインドネシア法人を設立した場合、土地の売買が可能となるのです。これはその土地が100%外国人・外国資本の所有地となります。

しかし会社の設立は決して簡単なものではありません。設立までに必要な手続きは半年以上の期間を要しますし、設立の資本金も最低で5千万円と簡単に用意できる金額ではありません。その為この方法はあまり有効とは言えません。

逆に、新興国での不動産投資が目的の企業で、資金も十分!という会社はインドネシアはまさにキャピタルゲインが期待できるでしょう。

インドネシア人の名義を借りて不動産を取得する

インドネシアの土地の所有権は原則インドネシア国籍者しか取得することができません。

そこでインドネシア国籍者の名前を借りて不動産を取得しようという方法があります。

この場合、名義を貸し出すオーナーと借り受ける側でノミニー(Nominee)契約を結んだ上で土地の購入を行います。

しかしこの方法で不動産を購入する際には細心の注意が必要です。いくら正式に「契約」結んで名義を借りていても、購入した不動産は自分の名義ではないのです。名義を貸し出した側との関係が悪くなった場合購入した不動産の権利を奪われる可能性も在ります。この方法は貸し出し側との「信頼関係」という不確定要素の基に成り立っていますので、法律事務所を通すなど、事前に万全の対策を打つ必要があります。

実際に不動産を購入するに当たって重要なポイント

さて、インドネシアでの不動産の購入方法がわかったところで、次は実際に購入する際の重要ポイントについ見ていきましょう。不動産購入と言えば自国でも多くの時間、労力を必要とするものです、海外では更なる注意が必要となります。

1. 金額交渉

これはどんなビジネスでも最重要ポイントではないでしょうか。金額交渉が始まらない限り売り手も正確な情報を開示してくれません。その土地の購入意欲があるということを明確に伝え、金額交渉を始めると同時に、その土地に関する正確な情報、書類の提示も依頼しましょう。

ちなみに…インドネシアでは外国人はローンを組むことができません。購入の際は日本の銀行を通してローンを組むか、現金で購入するかの2択になります。

2. 瑕疵調査とITR(Informasi Tata Ruang)レポートの発行

金額交渉におおよその目処が立ったら、対象の土地の調査を始めます。土地の調査は弁護士等の専門家が土地役所(BPN)にて瑕疵調査内容に記載されている事項の確認を行います。

それに加えてCipta Karya(人間居住総局)に依頼し、土地の所有者、面積等の基本的な情報、その土地が位置するエリアの建設規定、対象の土地に建物を建設する際のセットバック(公道から何m下がって立てる必要があるか等の規定)、建ぺい率など更に詳しく調査してもらい、その内容をITRレポートとして発行してもらいます。

この瑕疵調査とITRレポートの取得を持って対象の土地の調査が完了します。このレポートの取得は不動産の購入にあたり、1つの判断基準となり、弁護士の調査を裏付け、詳細補強を目的とするだけではなく、その後の建物を建設をする際の手続きに必要となる重要な書類の一部となります。

3. 不動産登記手続き

金額交渉で両者が合意と瑕疵調査が終わったら、不動産の登記手続きを始めます。

  1. 関連書類の審査希望の不動産の権利書やその不動産にかけられている税金の納付証明書、所有者の身分証明書など、契約相手が法的に問題ないか必要書類の審査が必要です。
  2. 土地権利書の確認「土地証書政策官」に土地権利書の確認を依頼する必要があります。土地権利書に不正や不足がないかを、該当する土地を管轄する国土庁事務所にてチェックしてもらいます。
  3. 所得税・名義変更料の納付契約相手に法的に問題が無いこと、土地権利書が真正であることが確認された後に所得税・名義変更料を納める必要があります。
    (税率は所得税・名義変更料共に物件価格の5%)
  4. 土地譲渡証明書の作成所得税・名義変更料の納付証明確認後土地譲渡証明書(AJB)を作成します。
    ・代金の完済・証書署名→代金の完済確認後に土地譲渡証明書へ双方が署名し、売買成立となります。・権利書の名義変更上記3つの手続きが全て完了した時点で、売買(契約)完了となります。

不動産登記手続は膨大な時間、労力、費用がかかりますが、海外での不動産購入では日本ではありえないような問題が次々と起こるものです。適切な仲介業者や専門家を雇い不備のないようにしましょう。

まとめ

以上インドネシアでの外国人の不動産購入についてまとめてみました。今回紹介している外国人の不動産所有に関する法律や規制、税率、最低金額は数年後とに改定される場合があるので、その都度専門家に相談されることをおすすめします。